ちりめん細工との出会いから

初めてちりめん細工に出会ったのは、
学生の頃,、京都の街中を散策中に、小さな木造りのウインドウの中に飾られたお花の細工物を見つけた時です。

かわいい陶器の香合や、お香と共に飾られた椿や桔梗の花のちりめん細工は、手のひらに収まる10センチ程の大きさです。
小さいながらも袋状で、お香や小物が入れられるようになっていました。

布の持つ柔らかな風合いとこっくりとした色あい、工夫して作られた形は、
本物にひけをとらない存在感で、愛らしく、作り手の温もりが感じられました。
私はその時、一目で虜になりました。
なんとか自分でも作れないものかと、細工物の本を買って作ってみようとしますが、
最初はちんぷんかんぷん。。。

型紙をとり、布を裁断してからピタッと手が止まり、縫い方がさっぱりわかりません。。。

小さい頃からの手芸の知識だけではどうしようもありませんでした。

それでもいろいろな細工物の中から、一番簡単そうなものを選んでは1つ、また1つと作っていきました。作りたい細工物はたくさんあるのに、作れるものはほとんど無くてもどかしい思いをしていたことを覚えています。
作りたい物に合う布をなかなか見つけることができず、布集めも四苦八苦で、進まない時期もありました。

結婚して嫁いだ先が呉服屋だったので、そこで着物の知識を学び深めることができました。

元々、着物は好きで着る機会もあり、仕事をする中で様々な着物の色や柄を見るのは楽しい作業でした。そして何よりちりめん細工に使う布を集めやすくなりました。
細工に使う布は古布を主に用いるので、店で扱う商品とは異なるのですが、着物の知識が増えたことは細工物の布えらびを助けてくれました。
生地を直接触って風合いなどを確かめたりできること、材料集めの助言が得られること、などなど。
そして子育てが一段落して、細工物を作る静かな時間が少しずつ、少しずつ増えていき、本格的にちりめん細工を始めることができるようになりました。